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プリンセス・トヨトミ (文春文庫)プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
万城目 学

文藝春秋 2011-04-08
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半月前に映画行きました。で、原作も読んでみました。

映画の一番の見所は、綾瀬はるかのたゆんたゆんです(真顔)。

万城目氏曰く、ネタの着想は小学生のころだそうで。
誰もが思いつきそうで、だけど「こんな馬鹿な話し」と流してしまいそうなネタを、何百ページにも渡って纏め上げ、読ませてしまう力技には感服です。

映画に関しては、まあ、だいたい予想とおりと言うか想定内と言うか。地方出身で大阪在住の大阪府民からしてみれば、ツッコミどころ満載の映画ですた(笑)

そして原作を読んで、改めて万城目ワールドの映像化の難しさを実感です。



以下ネタバレで。

映画では父と子の受け継がれる心が大阪国の正体であることを描いているが、じゃあ女は? というのが最大の疑問として残りました。

作中では一応、「女は家を護っている」の一言で済まされているが、でも大阪国ってのは男だけで作られた国なんだろうか? 男だけで400年も連綿と続いていけるのか? そもそも、元来飽きっぽい大阪気質に、こんな大真面目な(笑)ことをきちんと受け継いでいけるんだろうかと。

それが不思議でならんかったんです。

これらの疑問は、原作を読んで氷解しました。女は大阪人の最も大切な気質(と、個人的に思っている)「また男達がアホなことしてるわ」と、笑い飛ばしつつもそんな男の気持ちを「ま、しゃーないわ」と受け止める役割を、担っていたのです。

原作ではこのことを、旭が大輔に話しています。映画では旭は男性でしたが、原作では女性で大阪出身。その旭が、「女として生きる」決意をした大輔に、同じ大阪国の女として打ち明けるのですが。

「またアホなことしてるなあ。ま、しゃーないわ。好きにしいや」

これこそが大阪国の『肝』であって、父と子の『絆』と双璧をなす大阪国の『心』のはずなのに、映画では旭と鳥居の性別が変わったことで、ばっさり切り捨てられてしまっています。

「子供の頃から知っている『大阪国』で、何が起こるのか、見てみたかった」。映画でも小説でも同じ台詞を述べていますが、『アホなこと』の真ん中にいる男性旭と、傍で見る女性旭では、意味はまるで別物。映画ではただの興味でしか無かったが、小説版では男達が連綿と受け継いできた想いを、アホで愛しい目線で見守る存在として描写され、結果、動機の重さが変わってしまいました。

なぜスポイルしちゃったか。製作者には、理解できなかったんじゃね? 「アホなことしとるなあ。ま、しゃーないわ」の真髄を。

理解できないものはとりあえず横に置いて、綺麗なカンドウキョヘンにまとめちゃったほうが楽だったんじゃないかなあと。

ただ、『肝』をスポイルした結果、地方出身で大阪在住の大阪一府民から観て、父と子の絆の物語と言う感動巨編っぽい映画になっちゃったなあ、と。場面にしても、阪神電車とかミナミとか引っかけ橋とか通天閣回りとか、『いかにも大阪らしい場所』だけを切り張りしてりゃ、それでいいか、みたいな。「いやいやいや、北摂とか泉州とかあるでしょ。USJとかみさき公園とかあるでしょ」とか。目一杯突っ込んだのはお約束ですがががw

万城目ワールドの映像作品には、『鹿男あをによし』『鴨川モルホー』がありまして。
だけど、映像エンターテイメントの素材として扱うには、とても難しいなあと改めて思います。一見、映像向けの派手な仕掛けに見えますが、実は文字が持つ重厚な説得力あっての万城目ワールドであり、『嘘を確立させるための現実感』を築きあげるには、映像ではどうしても力が弱くて自立が難しいと。つくづく思います。

あ。大輔君と茶子ちゃんの関係は、原作そのまんまですね。むしろ原作のほうが細かく描かれてます。セーラー服がまるで似合わないのに、『誰かを守ることに、男も女も関係ない』『自分に正直に生きることの難しさと、素晴らしさ』を一身に担う大輔君が、カッコよく見えます。これは小説も原作も一緒。茶子ちゃんは、原作のほうがこえええええw


音楽は佐橋さん。やたら壮大です。嫌いじゃないよw

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